2011年10月31日
by yamamori
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伝統的炭焼き窯の製作

山の石と粘土を使った伝統的炭焼き窯の製作   早川山守会は、2009年度の事業計画の一つとして、2010年1月から2月にかけて炭焼き窯を製作しました。間伐した竹や雑木を利活用するための一つの有効なツールとして、現在も活用しています。 この窯は、早川集落の奥にあるシッコ山でとれた粘土と山の石(粘板岩)を使った伝統的方法で作られました。最近の炭焼き釜は、耐火セメントやキャスター(アルミナ)で作られるものがほとんどですが、早川山守会では、あえて伝統的方法を選択しました。粘土でつくられた窯は、温まりにくく、冷めにくい性質を持っていますので、よい炭が焼けます。 この窯は、上から見ると奥のほうが広がった楕円形をしていて、最も幅の広いところで1.6mで、奥行が1.7m、そして高さが0.7~1.2mです。内容積は約2.5立米あります。釜口には、幅60cm、高さ70cm、奥行60cmの燃焼室がつけられています。傾斜地を掘ってつくられました。 この窯において、1回の炭焼き(黒炭)により、100kg乃至120kgの炭が焼けます。また、出てくる煙を冷やして採取する「木酢液」は、1回当たり40乃至50リットルとれています。木の種類や乾き具合などによってその都度必要な時間数は変わりますが、火入れをしてから約3日間燃え続け、その後、いわゆる「窯止め」をしてから4日間空気を遮断して炭化を促進して、その後やっと炭として取り出すことが出来ます。よい炭を焼くには、窯止めのタイミングを逃してはなりません。窯の中は見えないので、煙突の直上の煙の色、温度、及び匂いで判断します。   以下に、炭焼き窯を製作した工程を紹介いたします。 工程1 窯底を掘り下げます。窯の仕上がりの大きさよりも30cmほど広く掘りました。掘り下げる奥中央に排煙口を定めます。排水溝の工事として、窯底中央に深さ20~30cmの溝を掘り、石、レンガ破片などを敷き詰めました。 工程2 次に、窯壁をつくりました。内側と外側に石で土留めをつくり、その中に粘土を入れてつき固めました。壁がある程度の高さになったら、内側の土留め石を必要に応じて取り払い、窯壁の表面が滑らかになるよう板や木槌で打ち固めました。理想的には20cm程度の厚さの粘土の壁が必要ですが、粘土を山から運搬する労力を少なくするため、粘土の壁にはところどころに粘板岩を入れ込んでつくりました。今回は約1tの粘土を運びましたが、それでも大変でした。乾燥すると粘土にひびが生じますので、ひびの部分には再度上から水で溶いた粘土を塗りつけて補修しました。また、ひびの発生を少なくするため、短く切ったわらを混ぜるのは有効でした。 工程3 次に窯の天井をつくりました。天井についても、昔の人は、石と粘土で作っていたそうですが、落下のおそれがあるので、今回は、型枠を組んだ後、中に鉄筋の骨組みを作り、最後にキャスターを流し込みました。 工程4 燃焼室と釜口を耐火煉瓦などでつくりました。最後に、雨よけの屋根と木酢液を採取するための煙突を太い竹をつかって設置しました。木酢液は強酸性ですので、鉄などは腐食されます。ステンレスは大丈夫ですが、窯の材料として金属を用いないこと及び窯の中に針金などの金属類を入れないことは、不純物を含まない良質の木酢液をつくる上で重要なことです。 早川山守会では、本炭焼き窯を使って、毎年9月から4月の秋・冬場にかけて、黒炭の技法で炭焼きを行っています。炭焼き体験などにご興味のある方は事務局(電話0556-48-2550 メールshinichiro.ogura@nifty.com )までご連絡ください。 早川集落のご先祖は、700年ぐらい前、近隣のシッコ山(標高900m)に集落を築いていたそうです。先日、山の中で炭焼き窯の跡を見つけました。昔の人達は、石と粘土でアーチ型の天井を作ったそうです。すばらしい技術ですね。 なお、窯の天井を作る時、型枠内に鉄筋を組んだ上でキャスターを流し込んで施工しましたが、鉄筋とキャスターの熱膨張率が違うので、「白炭」を焼く(窯内1000度C以上になります)場合に割れが生じたりすることがあります。今度作る時には鉄筋は入れないで施工しようと思っています。