2011年10月31日
by yamamori
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間伐材を利用した自然派ログハウス

早川山守会は、2010年度の事業計画の一つとして、2010年6月から8月にかけてミニログハウスを試作しました。間伐材を有効に利用するための活動の一つとして取り組みました。   このログハウスは、内部の面積が4畳半と小さなものではありますが、間伐材を使用したものであり、また、他では見られないいくつかの特徴を持っています。第一に、小口径の間伐材を使用することから、通常販売されているログハウスにおいて工作されているグルーブという上下の丸太間の溝を掘っていません。この溝は、丸太間の隙間をなくすために作るものですが、早川山守会のログハウスでは、隙間を、わらを混ぜた山粘土などでふさぐため、グルーブの切削をする手間がいりません。このため、作業期間が大幅に短縮でき、また、必要な丸太の数も少なく出来ました。   次に、本ログハウスには、日本の伝統的な「焼き杉板」の技法を使って板材を処理してあり、塗料についても内部には「柿渋液」を塗装するなど、人に優しく、また、山小屋のような趣を持たせるようにしてあります。このようなことから、本ログハウスを「間伐材を利用した自然派ログハウス」と名づけました。   工事は、2010年6月から8月にかけて行われました。延べ100人日程度の労力を必要としました。工事に先駆け、工事担当者を南部町にあるログクラフト事業協同組合へ研修派遣し、基本的な技能を修得させました。また、工事開始後も、同組合から様々なアドバイスをいただきました。   作業の各工程でいろいろな苦労や経験などありましたので、以下にその概要について説明いたします。   工程1 まず、間伐材を切り出し、その皮むきをしました。皮むきについては、早川理事長から江戸時代に使われていた道具を借りることが出来、作業効率が上がりました。カナダなどで使われているドローナイフより小型の刃がついた切削道具ですが、なかなか使い勝手がよいです。 丸太は、秋から冬にかけて切り倒したものはカビがつきにくいですが、春の水をあげている期間に切り倒したものは、カビがついて真っ黒になりやすく、皮をむいた後、水で洗う、防かび剤を塗る等の注意が必要です。それから、木を切り倒してから、半年以上乾燥させると、材が硬くなり、チェンソーでノッチ(丸太の重ねあわせ部につくる切り込み)を切るときに苦労することになりますので、乾燥させる期間についても考慮する必要があります。 ノッチについては、普通のチェンソー(排気量40ccと50ccの2つ)を使って、ラウンドノッチと呼ばれる基本型でつくりました。まず、平行する上下の丸太の隙間が7cm位(正確なスクライブをし易い長さ)になるように、上の丸太の交差部をチェンソーでラフカットします。次に、2つの丸太を上下に組置きし、落ちないように「材木かすがい」で固定し、交差部における下の丸太のかたちを上の丸太に、スクライバーというコンパスのような器具(安いものは1~2万円、インターネットで購入できる)でていねいにうつしとります。この時、スクライバーの足端間隔を適当な長さに設定しますが、例えば、丸太の隙間の間隔が7cmで、スクライバーの足端間隔が6.5cmだと、仕上げ後の上下の丸太において5mmの隙間を残すことになります。うつしとった線は、チェンソーで削った際に消さないように最後まで残します。なお、下の丸太が上の丸太より細い場合に、オーバーハング部分がノッチの組み込みを邪魔することが起こりえますが、その場合は、下の丸太のオーバーハング部を少し削り取ることにより対処します。 チェンソーは、Still社のMS200(排気量39cc)とMS260(排気量50cc)を使用しました。ガイドバーは、彫刻用ではなく、普通のものでOKです。 工程2 次に基礎工事です。基礎は、ひのき丸太(直径30cm位)の独立基礎としました。丸太には、ACQ加工(Alkaline Copper Quaternary、防腐剤の加圧注入)を施しました。ACQについては、軽トラで静岡県清水港にあるモクサン(清水港木材産業協同組合)に持ち込んで加工しました。なお、ひのきは乾燥すると亀裂が入ったりして耐久性にやや難がありますので、出来れば、松や栗などの材を使った方がベターと思います。地面に丸太を設置した後、その上に、はしご形の根太をつくりました。水平は、水をいれたホースで確認しました。 工程3 基礎部分の上に一段一段、丸太を積み上げました。どの丸太をどの位置で使うかは一番難しい問題です。事前にすべての丸太に番号を打つとともに両端それぞれの直径を計っておき、窓枠や一番上の丸太の高さを水平に揃えるために、エクセルで計算しながら、丸太の選木をしました。おおまかには、細い丸太は中間部に使用し、下部と上部の丸太を太くすれば見栄えはよくなるようです。 工程4 上のほうの丸太は、チェンブロックで積み上げました。窓や入り口の開口部については、丸太の一方の端にしかノッチを切れませんので、他の端には、長さ20~30cmの鉄筋をダボうちして固定してあります。ダボの穴は、一応インパクトドリルでもあけることができます。雨で丸太が濡れている時など、丸太は簡単に滑落しますので大変危険です。十分な注意が必要ですし、開口部の丸太組みを作る際には、ノッチを切らない丸太の端が固定できるような治具を使用します。 工程5 15段目まで丸太を積み上げ、その上に屋根板を張る細丸太を2方向に設置しました。 工程6 棟木をほぞ切りと金具でとりつけ、その上に2x6材を、そして、その上にコンパネ板をはりつけました。縁には水きり用の金具をとりつけました。 工程7 屋根材を敷設しました。まず、アスファルトロールのシートを張り、その上に、アスファルトシングルをボンドと釘で敷設しました。更に、入り口ドア前のテラスを製作しました。 アスファルトロールの敷設は、雨漏りを防ぐ基本になります。釘穴や継ぎ目などについても、出来るだけシールすることがお勧めです。 工程8 窓枠とドアの取り付けをしました。ログハウスは、筑後5年間ぐらいかけて丸太が乾燥し、少しずつ沈下しますので、その対策が必要です。そのため、窓枠やドアの枠は、丸太端面につくった切り込み溝にはめ込むだけです。窓は、アンダーセン社の既製品を使いましたが、ドアは、ステンドグラスをはめこみ手作りしました。最後に、丸太の隙間を、わらを混ぜた山粘土とコーキング材等でふさぎ、また、外部をキシラデコールで、内部を柿渋で塗装し、完成しました。 窓開口部に刻んだ溝(ここに窓枠をはめ込み、丸太が沈んでも窓枠に影響しないようにする)完成したミニログハウスこのログハウスは、現在、早川集落内において、炭焼きの見張り小屋として利用されています。電気はありませんが、ランプの灯りでゆっくりとした時間を野生的な自然の中で過ごしてみたいという会員の方の体験利用をお待ちしています。 最後になりましたが、本ログハウス試作に当たり、南部ログクラフト事業組合の斉藤友一様には貴重な助言をいただくなど大変お世話になりました。この場を借りて改めてお礼申し上げます。 (了)